【短編】五月蝿い子
相武を連れて来たのは、丁度空き教室だった図書室。
誰もいない図書室のカウンター席に座って俺は遠くに立っている相武に口を開いた。
「そんなに離れてないで……来れば?」
ちょっと優しく言ってみたけど、やっぱり相武はビクッとした。
「うん……」
そう言って相武は遠慮がちに俺の隣の席に座った。
その様子を見て、俺は遠くを見つめながら言った。
「……悪かったな」
「え?」
そう言った時、キョトンとして相武は俺を見つめた。
「俺……こういう性格だから。よく怖いって思われがちだし」
そう言って俺は俯いた。
「でもさ……そうやってビクッてされるのは傷つくんだ」
そう言って相武を見つめると、相武は泣きそうな顔をした。
「ごめんなさい……そういうつもりじゃなくて」