【短編】五月蝿い子
長い昼休みが終わって、俺は教室へと戻る。
同じクラスの歌唄と相武がいる教室に入ると2人と視線が合った。
……?
その視線に気付きながらも自分の席に戻ろうとしたら、歌唄に声をかけられた。
「明弥」
「ん?」
その声に前を向くと、目の前に歌唄とその後ろに隠れるように相武が立っていた。
何だ?
そう思いながら相武を見下ろして、目を細めた。
何故なら歌唄じゃなくて、相武が何か言いたそうだったから。
すると肩を震わせて、涙目になりながら相武は口を開いた。
「橘君……あのね」
すっごい小さな声で聞き取りにくい。
その聞き取れない声にまた苛々。
「何?」