ファーストキスは蜜の味。-ver.Ⅱ-
「詠葉」
息継ぎの合間に囁かれる、低い声。
「きょっ、ンん、にぃ…っ」
不安がいっぱいで、あたしは必死で恭兄を求めた。
ゆっくりと離された唇は、失われた酸素をとり戻すように何度も深く呼吸をした。
恭兄の唇は、あたしの唇で濡れていた。
ちょっと色っぽい恭兄。
……男の人が色っぽいって、ズルくない?
恭兄はあたしの前髪を梳くと、ニヤッと笑った。
「今日はここで一泊するぞ」