ファーストキスは蜜の味。-ver.Ⅱ-
車を降りて、あたしは恭兄に手をひかれて案内された。
ここで放置プレイされなかったことに、ちょっとほっとしたり。
恭兄は慣れたように人の波をぬって歩くと、会場の中に入った。
長く続く廊下。
警備の人が厳重にかこってる場所を目指して歩く。
「羽深というんだが、通してもらえるか」
恭兄は警備の人にそう告げると、
「お聞きしております。手前から二番目の控え室になります」
「わかった」
いくぞ、というと、恭兄はまたあたしを引っ張った。