ファーストキスは蜜の味。-ver.Ⅱ-
「鍵、ありがとうな」
「あら、返すのなんていつでもよかったのに」
いいながら渡したのは、昨日泊まった家の鍵。
やっぱり、女の人の別荘だったわけね。
それもこんな美人さんかよ。
「悪いけど食器は洗ったまま、置かせてもらったよ」
「洗ってくれたの?
――…ありがとぉー」
親しげな会話に、胸がズキンッと痛んだ。
あら、といいながら、女の人はあたしを見た。
「この子が、恭一のいまの彼女サン?」
「あぁ、詠葉だ」
あたしはムリヤリ頭を下げられた。
“いまの彼女”
ズキン、ズキン、と心臓が痛い。