MEMORY
『だって…あんなに綺麗に弾けるのに…すごく上手なのに…』
「…」
『ずっと会ってみたかったんだ。毎日毎日、ピアノ聴きながら誰が弾いてるのか』
何も言わない黒澤君を見て、あたしは決めた…。
『もう来ないから。だからピアノ弾いて?』
あたしがココに来なければ、きっと黒澤君は前みたいに弾けるはず…。
辞めるなんて、あたしのせいで辞めるなんて…そんなのダメに決まってるから…。
あたしは黒澤君に背を向けてドアに向かおうとした…