アリスとウサギ
文句を言おうとウサギの方を向くと、アリスが口を開くより先に頬に彼の手が触れた。
「奈々子、飲み過ぎだぞ。あんまり俺を心配させんなよ」
何言ってるんだ、こいつは。
さっきから奈々子って……わざと呼んでるし。
「別にいいじゃない。ほっといてよ」
「この間のことも年をごまかしてたことも謝るから、もう機嫌直せ」
「はぁ? この間のことって何よ?」
「ほら、俺の部屋で寝てる間に……」
「キャー! みんなの前で何言い出すのよ、あんたは!」
二人の会話に一同は大注目。
ウサギの発言のせいでケンカ中のカップルのような会話に仕立てられた。
直人がやや顔をひきつらせている。
「啓介とアリスちゃんってそういう関係なの?」
「ちが……」
「そういうこと。だからこれ以上手出し禁止な」