アリスとウサギ

「じゃ、後はよろしく」

「うん、お疲れさま」

 アヤには優しい顔を見せるウサギはそのまま裏の方に行ってしまった。

 店内はアヤとアリスの二人きりに。

 アリスは気まずさを感じながらも、興味本位でカウンター席に移動した。

「アヤさんって、おいくつなんですか?」

 洗い物をしながら一瞬だけ目が合い、ミステリアスな視線がやはりウサギと似ている。

「27よ。もうアラサーなの」

 低くて落ち着いた声は、悪い意味ではなくもっと年上に聞こえる。

「なんか、大人だなぁ」

 ため息のように漏らせば、フッと優しい笑みが返ってきた。

「奈々子ちゃんの方が大人よ。私が二十歳の頃なんて、金髪でギャルギャルしてたもの」

 キュッと蛇口を締める音が響いた。

「ウサギとはどういう関係なんですか?」

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