アリスとウサギ

「な、なによ……」

 そんな風に笑われて、良い気分になれるわけがない。

 更にウサギはひとしきり笑い、治まったところで、

「おかわり」

 とアリスに空のグラスを差し出してきた。

 バカにしたようなその態度に、アリスの腸が煮えくり返る。

「自分でやればぁ?」

 フン! とそっぽを向くと、二人の様子に気づいたメンバーがヤジを飛ばす。

「フ~! ウサギが女を怒らすなんて珍しいじゃん」

 ウサギにからかわれたなんて思われたくなかったアリスは、

「別に怒ったわけじゃ……」

 と、手をブンブン振って自分の粗相をフォローしようと躍起になった。

 ところが、彼はアリスの感情を更に逆撫でする。

「何だよ、邪魔すんなっての」

 こう言ってウサギはアリスの肩を引き寄せた。

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