アリスとウサギ
その行動に、メンバーは更に盛り上がった。
「ウサギ君、アリス狙いなんだ?」
「つーか初っぱなからメンバーに手ぇ出すなよ」
冷やかされ恥ずかしくなったアリスは、密着したウサギの体を押し退けた。
「やめてよっ」
ふわっと香った男物の香水。
サムライ。
かつて少しでも憧れた彼が、こんなにチャラい男だったとは……。
アリスは当時の自分に反省しながら、話題を逸らそうとウサギのウーロン茶の空きグラスを差し出した。
「おかわりだって」
ウサギはその様子をおかしそうに笑いながら眺めていた。
何なの、この人。
わけわかんない。
話を切り上げて、さっさとここから移動しよう。
そう意気込んだアリスだったが、ウーロン茶のおかわりが来たところで席はすっかり安定してしまい、ウサギの隣から逃れるタイミングを失った。