アリスとウサギ

 ウサギとキスをするのはこれが初めてではない。

 眠っている間にやられたらしい。

 アリス自身はその時のことなんて何も覚えていなかったが、体が覚えているようだ。

 恐らくあの夜に受けた刺激を、潜在意識からわき出るように感じだした。

 腕と唇以外触れられてもいないのにおかしな声が漏れる。

 それにウサギが反応するのは早かった。

「そんな声出すなよ」

「違うっ……」

「何が違うの?」

 聞いておいて答えさせてなどくれない。

 意地悪ウサギとのキスは、呆れるほどに長かった。

 すっかり力が抜けてしまったアリスは、ウサギに支えられながら背もたれを立てたベッドに腰掛けた。

 彼と同じベッドに入るのも二度目だ。

「ねぇ、ウサギ」

「なんだよ」

「あたしがパソコン借りた日、どうして最後までやらなかったの?」

< 174 / 333 >

この作品をシェア

pagetop