アリスとウサギ

「何するつもりよ?」

 警戒してほんの少しだけウサギから離れる。

 しかし彼は逃がさないとばかりに腰から引き寄せた。

「続き……みたいな?」

「はぁっ?」

「この期に及んで断るつもりかよ」

「だって他に女、たくさんいるじゃないのっ」

 そんなのイヤ、と言おうとしたところを、ウサギの口に阻まれる。

 無精髭が刺さって痛い……。

「ったく、まさか若干24歳で一人の女に落ち着く羽目になるとはなぁ」

 彼はアリスの頬を摘んでしみじみと嘆くように呟いた。

「あんた、あたしと付き合うつもり?」

「え、イヤなの?」

「そうじゃなくて……」

「何だよ。俺の人生計画の三分の一を崩壊させといてNOとは言わせねーぞ」

「だからそうじゃなくて……ウサギと付き合おうとか思ったことなかったから」


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