アリスとウサギ
こいつは簡単に言うが、そういうわけにはいかない。
親に借りてもらっている部屋だし、同棲するなんて父に言った日には反対されるに決まっている。
それに、もし別れるってなったら……。
「が、学生の私に即決する権利がないっす」
するとウサギは察知したのか、クスッと笑って、
「じゃ、毎日泊まりに来いよ」
と言ってアリスの頭を撫でた。
素直に微笑まれるのに、まだ慣れない。
「考えとく」
「俺がアリスの部屋に住み着いてもいいけど」
「狭いでしょ」
「いいじゃん、密着できて」
「……バカ」
秋、空が暗くなりきった頃。
アリスとウサギは晴れて手を取り合うことが出来た。
たくさんの壁を残したまま。
そう、問題はこれから――……。