アリスとウサギ

「はあぁぁぁ」

「何よ、ため息なんかついて」

 いろんな感情が働いた結果深いため息をもらしたアリスを、早苗が笑う。

 何となく後ろを振り返ると、ウサギはカロリーメイトをかじりながら携帯をいじっていた。

 彼の余裕に腹立たしさすら感じる。

 直後、アリスの携帯が震えだした。

 ウサギからのメールだった。




 そして4限の講義終了後。

 ……どうしてこんなことになってしまったんだろう。

 頭の中にはそればかり。

「なあなあ。本みりんとみりん風調味料ってどう違うの?」

「本みりんの方が美味しいのよ、たぶん」

「じゃあ本みりんにする」

 そうしてカートの籠にドンと本みりんのボトルが乗せられた。

 籠には他に、ジャガイモやタマネギが入っている。

「次は……肉? それとも米?」

「急ぎすぎ。醤油がないと味が付けられないでしょ」

< 186 / 333 >

この作品をシェア

pagetop