アリスとウサギ
「はあぁぁぁ」
「何よ、ため息なんかついて」
いろんな感情が働いた結果深いため息をもらしたアリスを、早苗が笑う。
何となく後ろを振り返ると、ウサギはカロリーメイトをかじりながら携帯をいじっていた。
彼の余裕に腹立たしさすら感じる。
直後、アリスの携帯が震えだした。
ウサギからのメールだった。
そして4限の講義終了後。
……どうしてこんなことになってしまったんだろう。
頭の中にはそればかり。
「なあなあ。本みりんとみりん風調味料ってどう違うの?」
「本みりんの方が美味しいのよ、たぶん」
「じゃあ本みりんにする」
そうしてカートの籠にドンと本みりんのボトルが乗せられた。
籠には他に、ジャガイモやタマネギが入っている。
「次は……肉? それとも米?」
「急ぎすぎ。醤油がないと味が付けられないでしょ」