アリスとウサギ
ここはウサギのマンションの最寄りスーパー。
アリスとウサギは、揃って買い出しに来ていた。
この日、3限が始まる前、彼からのメールはこんな内容だったのだ。
〈肉じゃが食いたい〉
その後、講義が始まってからも、
〈食べれば?〉
〈食わせろ〉
〈どういう意味?〉
〈作って〉
〈あたしが?〉
〈他にいないだろ〉
こんなメールを続け、ここでカートを押しているというわけだ。
「醤油と……そうそう。顆粒出汁も買わなきゃ」
アリスは材料を一つ一つ思い出しながら籠に詰め込んでいく。
そんなアリスを眺めながら、ウサギはふとこんなことを提案してきた。
「料理に使うもんなら何でも買っとこうぜ」
「え? あんた料理とかするの?」
「まさか。アリスが作るんだよ。できれば毎日」
「は? 毎日?」