アリスとウサギ

 アリスはウサギの自信が不思議で仕方がない。

 自分は最低だと言いながらも女はそんなウサギに寄ってくるという。

 騙されてはいけないと思いつつ、興味は次から次へと沸き上がる。

 彼が女にどう接しているかの予想は付いたが、どのような仕打ちを与えるのだろう。

「最低って、自分で言えるほど何やらかしてんのよ?」

 アリスはグラスに余っていた氷をかみ砕き、酔いと体を冷ましながら聞いた。

「さあね」

 とだけ答え、ウサギはタバコの火種を潰し、ウーロン茶でのど仏を揺らす。

 毎晩違う女を連れ込むと評判の彼のことだ。

 最低という言葉もしっくりくる。



「時間来たから出るよー」

 飲み放題は2時間。

 ここで一次会はお開きということになった。

「一人三千円ね」

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