アリスとウサギ
「シーツが濡れちゃう」
濡れた髪からシーツへ水分が移っていくのを気にして、アリスは頭に力を込める。
「……お前、たまにすげーエロいこと言うよな」
「バカ、そういう意味じゃない」
「じゃー、こうすりゃいいだろ」
ウサギはアリスに巻き付いたバスタオルを一気に剥がし、それを頭の下に敷いた。
当然、その他は彼の目に晒すことになる。
ウサギは大きくため息をついた。
アリスの心で羞恥と不安が混ざる。
「お前、マジムカつく」
「何よ、こんな時に」
こいつはいざという時に文句を垂れたがる。
今までで一番ウサギを愛しく思っているのに……。
アリスの目に涙が溜まった。
ウサギはギュッと目を閉じて深呼吸をした。
「俺の売りは余裕なんだよ」
「何よ、売りって」
「セールスポイント」
「あたし相手に商売しようっての?」
「そうじゃない」
「わかりにくいのよ、あんたは」