アリスとウサギ
「強い? あたしが?」
「うん。知ってる人の中では、アリスがメンタル最強だよ」
酔っているのかいないのか、顔を真っ赤にさせているのに口はハキハキとものを言う。
酔っぱらいの戯れ言と取るべきか、それとも真面目に返すべきか。
「どうしてそう思うの?」
悩んだ結果、万能な返しを見つけることができたアリス。
パリパリもぐもぐポテチを頬張る早苗は、赤いがまじめな顔で答えた。
「普通そんな嫌がらせ受けたら自分からバイト辞めたいと思うし、その原因がウサギならさっさと別れて解放されたいと思うでしょ」
「そうかなぁ?」
「そうよ。でもアリスはそんな男に週の半分以上はご飯を作るし、バイトも辞めなかった。強すぎよ。心に毛でも生えてんの?」
「毛って……」
アリスは頬杖をついて、毛の生えた心を想像してみた。
なかなか気持ち悪い。