アリスとウサギ

 アリスも新たに缶チューハイを空けてポテチをかじる。

 ガリガリと硬い食感のそれは思ったよりスパイシーで酒が進んだ。

「あんた、ウサギにどう説明するつもり?」

 目を背けたかった問題を、早苗が突きつける。

 過ぎてしまったことはもうしょうがないとして、今一番の問題はそこなのだ。

 膝に顎を乗せ、ため息。

「わかんない」

「ウサギのせいにしたくないんでしょ?」

「うん……」

 愛羅とマヤのことは彼のせいにしてるみたいだから言いたくない。

 しかし先日来週のシフトについて話したばかりだし、急に「辞めちゃった」というのもおかしな話になってしまう。

 だからといって黙っておくわけにもいくまい。

 さて、どうしたものか。

「ウサギに対してだけ随分臆病ね」

「そうみたい」

 考えはまとまらないまま夜は更けていった。

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