アリスとウサギ



 翌昼、休日。

 ウサギは青い顔をして味噌汁をすする。

「頭いてえ……」

 いわゆる二日酔いだ。

「珍しいこともあるもんだね」

「さすがに飲みすぎたな……。俺一人でウィスキー二本は空けてるし」

「もう! 医者に酒は控えろって言われてるでしょ?」

「仕方ねーだろ。客の酒は断れないんだよ」

 夜の世界のルールはよくわからないが、自分の体のことも考えてほしい。

 また倒れられたりしたら、たまったものではない。

「それより、アリス」

「なに? おかわりなら自分でやってよ」

「今日はそんなに食えないっての。そうじゃなくて、何、それ」

 箸で指されたのは求人情報誌だった。

 とうとうこの時が来てしまった。

「バイト。探そうと思って」

 ウサギは青い顔のまま首を傾げる。

「ファミレスは?」

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