アリスとウサギ

「あんた裸じゃない」

「俺はいつも裸だよ」

 そんなに偉そうに答えられても。

 アリスは自らの膝を擦り合わせ、下半身が裸であることを噛みしめた。

「やっぱあたしの知らないうちにやっちゃったんだ……」

「結論から言えば、やってねえよ」

 俯いていたアリスの顔がパッと上がる。

「じゃあ微妙って何?」

「いや、だから……突っ込んではないってこと」

 不満そうにため息をつくウサギ。

 突っ込ん「では」ないということは、他に何かしたということだ。

 だからブラのホックが……。

「何したのよ?」

「は?」

「あたしの体のどこをどうしたのか、細かく教えなさいよ!」

 やや涙目で訴えると、ウサギは大笑いし始める。

「お前……朝からそんな破廉恥なこと聞きたいの?」

「ハレ……」

「意外にエロいんだな、奈々子」

< 55 / 333 >

この作品をシェア

pagetop