アリスとウサギ
それはつまり、アリスがそういう対象として見られているわけで。
セクシーなウサギに認められたのは良い。
しかし、普段この部屋に連れ込まれる多数の女のうちの一人になるなんて良いわけがない。
「あんたがそう思っててもあたしが良くないもん」
アリスが低くそう言うと、ウサギは笑ってベッドから降りた。
肩胛骨の刺青は、花と何かが組み合わさったものだった。
「だったら無防備に人のベッドで寝ちゃダメでしょ」
そこを突かれると、何も言い返せない。
ウサギはパンツ一丁のまま腕組みをした。
そして片手の親指をドアに向ける?
「シャワー浴びれば?」
「……はぁ?」
「そういう意味じゃないって。そのまま大学行くつもり?」
なんだ、そういうこと。
アリスは安堵のため息をつき、一言。
「一旦自分の部屋に帰ります」