アリスとウサギ

 パンツを見られることにも慣れてしまい、ウサギの前で堂々とジーパンを履いた。

「メイク落としも完備してるけど」

 それはアリスも知っていた。

 昨夜部屋を見て回ったから。

 髪を掻き上げる姿も、パンツ一丁だとカッコ付かない。

「いいの。服も着替えたいし」

「あらそ、残念。一緒に入ろうと思ったのに」

 アリスはお言葉に甘えなくて良かったと胸を撫で下ろした。

 ジャケットを羽織り、帰り支度を整える。

 ウサギはベッドにあぐらをかいてその様子を観察していた。

「なぁ、アリス」

「なによ」

「ホントに覚えてねーの? 昨日のこと」

「覚えてたらこんなに焦らないし」

 ウサギはふーんと言いながらまた髪を掻き上げた。

「あんなに激しくチューしたのに、マジで眠ってたんだ……」

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