アリスとウサギ
ウサギの穴から、脱出。
無事に、とは言えないが。
マンションの廊下に、ヒールの音がやけに響く。
アリスの体内には鼓動が響いていた。
それにしても、宇佐木啓介という男はなんてナンパな男なんだ。
いや、ぐっすり眠ってしまった自分が不覚だったのだが。
ウサギの言うことが本当ならば、眠っている間にチューやら何やらされているらしい。
「覚えがないんだもん。そんなのノーカウントよ」
そう自分に言い聞かせ、自宅へと急いだ。