アリスとウサギ
アリスはガン見したい気持ちを抑えてチラ見にとどめ、彼を観察した。
この顔なら、女も騙されて納得だ。
一時的な淡い気持ちを思い出してしまったアリスは焦る。
納得してはいけない。
私は騙されるわけにはいかないんだ……と。
この日の初ゼミは自己紹介と、今後の方針の説明のみで解散になった。
教授が部屋を去ってからは、必然的にこのような話になる。
「飲み行こうぜ!」
これからよろしくコンパだ。
バイトなどの予定がないメンバーは、この後安さが売りの居酒屋に集まることになった。
この日はバイトのないアリスも参加する。
気になったのは、ウサギ。
「ウサギ、お前も来るだろ?」
「あー、時間までなら」
「今日も仕事?」
「まあな」
騙されないと心に誓ったものの、気になるものは気になる。
アリスは心の中で、小さくガッツポーズをした。