あなたが好きなはずなのに
「花音?ボーっとして、どうした?早く部屋へ入ろう?」


隆志は私の肩を引き寄せると部屋へ入るように促した。


「えっ?あっ、うん・・・。」



そして、部屋に入るなり、真っ先に私をソファーに座らせると、コーヒーを入れるために自分はキッチンへと向かった。


キッチンの方からは良い香が漂ってくる。


いつもなら私が入れると声をかけるのだけれど、今の私にはなんとなくそれが出来ない。


何故か頭が回らない。


今の私の頭は時が止まったようだった。



そして、数分後。


隆志は私の前にコーヒーを持ってきてくれた。


「はい。」


「ありがとう。」



会話はいつものように続かない。


きっと隆志も頭の中で整理しながら話そうとしているのだろう。



「昨日は、1人淋しい思いをさせてごめんな。」


えっ?1人・・・?


もしかして、リョウの肩を借りて寝た事は知らない?



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