あなたが好きなはずなのに
「何か私に用事でしょうか?隆志さんの部屋は隣ですが。」


すると、都子さんは「今日はあなたに用事があるの」とフフッと笑いながら言った。



都子さんの目はすぐに、リビングの方に行った。


そこには、上半身裸のリョウの姿・・・。


「あら、取り込み中だった?」


私は都子さんの視線に気が付く。



「いや、えっと、違うんです!リョウのワイシャツのボタンが取れかかっていたから付けようと・・・。」


「あら、いいのよ。言い訳しなくても。」


言い訳じゃないんだけど・・・。



すると、リョウはワイシャツを着ながら私達の元へと歩み寄り、私の真後ろに立ちドアに手をかざす。


「都子さん、花音に何か用?」


「そうね、2人いるならちょうどいいわ。中にあげてもらえないかしら。」


私は、本当は嫌だったが「はい」と答えるしか無かった。



都子さんをソファーに座らせると、私はテーブルに置いた写真を思い出した。


すぐに隠そうとした写真を、都子さんが見逃すわけが無かった。


都子さんは私より先に手を出し、ぱっと写真を横取りする。


「あら、この写真素敵ね。」



< 124 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop