あなたが好きなはずなのに
「花音ちゃん?」


「はっ、はいっ!」


私は急に振られて素っ頓狂な声を出してしまった。



「隆志は、花音ちゃんしか見えていないわ。私は諦めるから。もう、余所見なんかしちゃダメよ?」


都子さんは私の顔を見ると、続いてリョウの顔を見始めた。



「あぁ、涼太君も可愛そうね。2人して、振られちゃった感じ?」


その言葉にリョウは少し淋しそうな表情でフフッと笑っていた。



「もうそろそろ隆志が来るんじゃない?」


「えっ?」


「私、隆志を呼んでおいたの。これから花音ちゃんの所へ行ってきます。ってね。涼太君、帰りましょう?ボタンなら私が付けてあげるわよ。お姉さん、涼太君狙っちゃおうかな。」


都子さんは、おちゃらけた様子で笑っていた。



そして・・・ドンドンドン!


ドアの叩く音。


「花音!開けるぞ!」


そう言いながら、血相を変えて私の部屋へ入ってくる隆志。


「都子!俺の花音に何言った!」


都子さんに凄い勢いで掴みかかろうとする隆志。


「ほらね?」


と、都子さんは私とリョウの顔を見て笑っている。



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