あなたが好きなはずなのに
私も戻ろうとした時、香おばちゃんは私の耳元で、


『花音ちゃんモテモテねぇ。』


『えっ?そっ、そんなこと!』



私は思いっきり横に首を振る。


やっぱり見られていた。



『あれは、転びそうなのを涼太君が支えてくれて。』


『はいはい、分かったわ。お兄ちゃん呼んできて?』


『はい・・・。』



香おばちゃん・・・絶対信じていない気がする。


けれど、その場にいるのが恥ずかしくなった私は、言われるがまま、隆志を呼びに2階まで小走りで駆け上がった。


そして、さっき・・・香おばちゃんが来なかったら、リョウは何て私に言ったのか?


“このまま・・・”何だったのだろう。


気になったけれど、私は気持ちを切り替えようと、大きく深呼吸した。


そして、ドアの外で隆志の名前を呼ぶ。



『隆志?ケーキ食べるよ?』


『あぁ、今行く。』



私は先に階段を下りた。


そして、私たちは何もなかったかのように、楽しくケーキを食べたのだった。



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