あなたが好きなはずなのに
「んっ・・・はぁ・・・っ。」



すると、コンコン♪


会議室のドアが誰かによってノックされた。


私はふと思い出した。


会議室の鍵閉めるのを忘れた・・・?


私は隆志の背中をポンポンと叩く。


隆志は私の唇から離れると、不機嫌そうに私の目をじっと見つめる。



「隆志・・・鍵・・・閉めるのを忘れた・・・。」



隆志は一瞬大きな溜息をついたが、その言葉に、動じることもせず、すっと椅子へと座る。


そして、ドアの向こうまで聞こえるはっきりとした声を出して一言「どうぞ」と言った。


会議室のドアが開くと、私は窓の外を急いで見るフリをした。


だって、今の私の顔はきっと真っ赤だもの。


こんな顔は誰にも見せられない。



「山下さん、○○さんからお電話です。」


「あぁ、今すぐ行く。」



私が後ろをチラッと見ると、隆志はすっと立ち上がり、自分の席へと戻っていった。


資料はそのまま・・・と言う事は戻ってくるという事だろう。


私は、急いで更衣室に行き、心を落ち着かせた。



< 4 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop