あなたが好きなはずなのに
「・・・・・。」


「花音!もうみんな食べ終わっているぞ!」


「えっ?」



隆志の優しくちょっと呆れた感じの声。


周りを見ると、もうみんなは朝食を食べ終わっていた。


私は急いで朝食を頬張る。


朝食を食べ終わり、食器をキッチンへ持っていくと、香おばちゃんが私の声をかけてきた。



「隆志と涼太は今からお父さんの所に行くんでしょう?花音ちゃんも行けば?」



香おばちゃんが言っているのは、2人が昔住んでいた場所の事。


そこにはまだ隆志とリョウの荷物があるらしく、たまに部屋を掃除しがてらよく行くらしい。


その家は、香おばちゃんの家からそう遠くはないらしく、車で15分の所にあるんだって。


そんなに近いなんて、まだ2人は本当に仲が良いんだな。


おじさん同士は嫌ではないのだろうか?そんな事を私は思ってしまう。



「花音も行くか?」



香おばちゃんの声が聞こえたのか、隆志はキッチンに顔を出し私に聞く。


そりゃあ、香おばちゃんの家に私だけがいるのも変でしょう。



「いいわよぉ?花音ちゃんだけ残っても。」


香おばちゃんは、私を後ろからフワッと抱きしめる。



「じゃあ、私だけ残っちゃおうかな?」


私は香おばちゃんの顔を見てニコッと微笑む。


すると、隆志は香おばちゃんにまでヤキモチをやくのか、私とおばちゃんを一瞬睨んだ。



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