あなたが好きなはずなのに
リョウは他の部屋に案内してくれる。


それは、廊下の突き当たりの部屋だった。



「花音?」


「ん?」


「昨日はごめん。」



えっ?



「何で謝るの?」


「花音に触れないようにしていたのに・・・。」


「えっ?」


「いや、なんでもない。ほら、これ。」



リョウは押入れからダンボールを出すと、下に置きアルバムを何冊か出した。


そして、ペラペラとめくり、私たち3人の時代のものだと確認する。



「この頃は良かったな。」


「ん?」


「花音と手を繋げたし、抱きしめても誰も怒らなかった。」



リョウは私を一瞬見て、アルバムに再び視線を落とすと、アルバムの中の私に触れた。



「リョウ・・・?」


「俺・・・やっぱり、花音が・・・。」



リョウが私に近づく・・・。


私はリョウの目に吸い込まれそうで、逃げる事が出来なかった。




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