あなたが好きなはずなのに
鏡を見ると案の定真っ赤な顔の私。


唇を見ると、隆志の顔を思い出す。


いけない、いけない!


私は慌てて唇にリップを塗り、ほっぺをパンパンと叩いた。



急いで会議室へ戻ると、まだ隆志の姿は無かった。


とりあえず、隆志が戻る前に、書類に目を通す。


しばらくすると、コンコン♪ドアを叩く音がした。



「はい。」


ガチャ。



隆志が無言で入ってきた。


きっと私の声をすぐにわかったのだろう。



「口紅・・・。」


「ん?」


「直してきたのか?」


「リップ塗ってきただけだよ?あんな顔誰にも見られなくて良かったよ。」


「誰にもって?」


「だから、田中さんとか、鈴木さんとか・・・。」


「田中・・・?」




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