あなたが好きなはずなのに
「・・・のん?花音?」


「えっ?何?」


「さっきから、何食べたいかを聞いているんだけど。」


「あっ、ごめん。何でもいいよ。」



私ったら、心ここにあらずって感じ。


だって、都子さんの事が頭から離れない。



「兄さん!俺、ハンバーグ食いたい!」


私に代わって答えてくれるリョウ。



「じゃあ、あそこだな。」



そう言って、何も無かったように2人は話す。


いや、何も無かったのではない。


その話に触れないようにしているだけ。


私たちはハンバーグを食べている間も、誰もその事には触れなかった。


隆志の家に帰ると、香おばちゃんが出迎えてくれた。



「おかえりなさい~!」


「ただいま。」



私は出来る限りの笑顔を作る。




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