あなたが好きなはずなのに
私は恥ずかしくて、先を歩こうとした。


しかし、隆志は繋いでいる手を離さないどころか、自分の方へ引っぱり私を引き寄せる。



「こういう事?」


隆志は自分の背中を少し曲げ、私の顔を伺うように覗き込む。



「もう、隆志・・・。こんな所で恥ずかしいよ。」


隆志は私の顔を見て、フフッと笑う。


また私・・・からかわれている?



「もう、どこでもいいよ、ご飯食べに行こう?」


「あぁ。その前に・・・。」



チュッ・・・。


えっ?一瞬だけのキスだった。


誰も見ていないよね?


私はキョロキョロと周りを見回す。



「もう、誰かに見られたらどうするのよ!」


「その時はその時だろ?お前に誰も寄って来なくなるだろうし、その方がいいかもな。」



隆志は、冗談なのか本気なのか・・・。


そして、隆志はまた私の手をギュッと握り歩き出す。



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