あなたが好きなはずなのに
「隆志・・・?私、家に入るね。」


「あぁ。」



隆志は、どうしようもないという感じで頷くだけだった。


どうして「待っていろ」って私を引き止めてくれないの?


都子さんは、隆志に抱きついたまま私を見てフフッと笑った。


そんな顔が見えない隆志は、都子さんに優しく話しかける。



「都子?とりあえず、うちに入るか?」



隆志・・・都子さんを家に上げるの?


本当は今日私が行くはずだったんだよ?!


都子さんは私を見てまた笑うと、隆志を見上げ可愛い声で「うん」と言った。


嫌だ・・・2人で隆志の部屋に入るなんて・・・。


私は泣きそうになった。



バタン!


私は自分の部屋に入る。


そして、ドアにもたれかかりながら唇を噛み締めた。


隆志・・・早く都子さんなんか帰してよ・・・。


私の目はまるでダムのようだった。


きっと、何かの拍子ですぐに涙が流れ出す・・・。



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