あなたが好きなはずなのに
そして、ガチャガチャ・・・。


隣の部屋が閉まる音がした。


行かないで!私は心の中で叫ぶ。



私はドアを開け、あたりを見回した。


もう既に2人はアパートにはいなかった。


私は玄関の前から道路を覗く。



その時私は、路地を曲がる前の2人を、一瞬だったけれど見てしまった。


都子さんが隆志の腕にしがみつきながら、幸せそうに歩く2人の姿。


街灯の下でくっきりと見える2人は、まるでスポットライトを当てられているかのようだった。



隆志・・・?


戻ってくるよね?


私、待っているから・・・。


今日ずっと一緒にいるって約束したじゃない。


抱きしめてくれるって・・・約束したじゃない・・・。


そう思いながら、私は2人が通った道をしばらく眺めていた。



< 75 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop