あなたが好きなはずなのに
「なぁ、花音?」


リョウはさっきまでの顔とは別人かのように、急に私の方を笑顔で振り向いた。


リョウの背中を見つめていた私は、ばっちり目があってしまう。



「なっ、何?」


思わず私は目を逸らす。



「花音の写真撮らせてくれない?」


「えっ・・・?」


私は思っても見なかった言葉にびっくりした。


急に何を言い出すの?



「今から、何処かに行こう?夕方から俺仕事があるから、お昼までだけど。」


えっ?今から・・・?


時計を見ると、まだ7時過ぎ。



「リョウ?急にどうしたの?」


「急じゃないよ?ずっと考えていたんだ。花音がモデル。俺がカメラマン。俺は練習になるし、花音もきっと楽しいよ?」


楽しいかもしれないけれど・・・。



「そんなの恥ずかしいよ。」


「大丈夫だよ、まだこんな時間だし。誰もいない所で・・・ねっ?行こう?」


リョウは私の手を握り、私を起こすように促す。



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