あなたが好きなはずなのに
シャワーを浴びながら私は考えた。


そういえば、私・・・これからリョウとデートってことなのかな?


いや、ただのリョウの練習に付き合うだけよね。



てか、よくよく考えると・・・。


急に私は嫌な事を思い出してしまった。


昨日、私・・・隆志といるはずだったんだ。


でも、都子さんが来て・・・。



私はシャワーから出るお湯を顔にあてる。


忘れたい。昨日の事は。


しかし、シャワーから出るお湯だけでは、なかなか私の心の中にある“昨日の事”は洗い流されてはくれない。


その時、私はリョウの言葉を思い出した。



『気分転換に付き合ってよ。』



この“気分転換”は、きっと私の為なんだと思った。


この部屋にいると私が落ち込むと思って・・・。


相変わらずリョウって、私に優しいな。


私は、止まっていた手を急いで動かした。



いけないっ!こんな顔でリョウに写真を撮って貰えない!


リョウの為にも、こんな顔をしていちゃいけないと思った。


体も髪も・・・そして、心の嫌な事も一気に洗い流す。



「大丈夫!」



私はもう一度顔をバシャバシャと洗うと、心の中で「よしっ!」と言い聞かせたのだった。



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