あなたが好きなはずなのに
私の右の耳はリョウのちょうど心臓あたり。


ドクドクドク・・・。


リョウの心臓の音を感じる。



その音とともに私の心臓の音はどんどん早くなっていく。


このままずっとこうしていて欲しい・・・。



「くすっ、相変わらず花音はドジだなぁ。」


そう言って、リョウは私を胸から放す。


えっ?



前だったら、私を抱きしめていただろう、リョウの腕。


「行くよ!」


「うん・・・。」



私は思わず、リョウの洋服の裾を掴んだ。


「どうした?」


「何でもない・・・。」



私は掴んだ裾をそっと離す。


何でもないけど、少し心がチクッと痛かった気がする。


ダメ。


私・・・何を考えているの?



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