あなたが好きなはずなのに
「じゃあ、帰ろうっか。」


「うん。」


「あっ、最後に2人で写真を撮ろう?」


「いいよ!」



私達は記念にと2人で写真を何枚か撮った。


2人して照れながらも、自然にピースしたり顔をくっつけたり・・・。



そして、それも終わり私達は家に帰ることにした。


朝とは違い肩を並べて歩く。


「リョウ?」


「ん?」


「今日はありがと。写真出来たら見せてね。」


「うん。」


「隆志帰ってきてるといいな。」



その言葉にはリョウは何も答えなかった。


そして、リョウの手が私の手に少し触れる。


いや、最初は触れたのかと思っていた。


しかし、その手は軽くだけれど、しっかり私の指先を握っていた。


リョウの親指は私の指を撫でる。


心も指先もくすぐったいよ・・・。



電車に乗ると、リョウはその手をすぐに放した。


さっきまで指先だけで繋がれていた私とリョウ。


ホッとしたような、少し淋しいような。


そんな複雑な気持ちだった。




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