君に届きますように【詩集】

・桜の木


舞う花びら
追いかけて
追いかけて

こいつは
駆け回っていた

いつの頃か
ここで出会った女性が
いたような気がする
いつの頃か
ここでこいつと同じ
駆け回った
小さな女の子がいた

いつの頃か

忘れてしまったが


君らがこいつと
桜の花びらを
掴まえようと
走る姿が

やけに面白く
楽しそうだから

何か懐かしい

幻想が見えた


この鮮やかな
だけど儚い桃色は

人の肌のように


何百年も何千年も
桜は
愛されている


桜のような
優しさと儚さ
一年を通して変わる
裏表なき表情


人に少しだけ
似ているような


どうやら

花びらは
君らに
話しかけているようだ


遊ぼう
遊ぼう。と


「なかなか掴めない」

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