セツナイロ
ブラウン
ケータイ、本当はいらなかった。
それでもやっぱり買わなきゃなって思った。
現代人たるものケータイくらい持ってなきゃカッコ悪い。
「こちらでよろしかったでしょうか?」
店員が造りものの笑顔を浮かべながら確認する。
「はい。…それで。」
あたしが選んだのは薄い、透明感のある水色のシンプルなケータイ。
昨日の最後のメールは、きっと彼氏からなのだろうと、あたしは大して気に留めずに、新品のケータイを店員から受け取った。
…もう期待なんてしていない。
きっと初めから決まっていた事だったんだよね。
あたしはアスカの彼女にはなれないんだってこと。
「あの…これからお茶でも…どう?」
…だから、逃げてもいい?
「うん…うん
…じゃ駅前のカフェで
うん…それじゃ…。」
…1人じゃ苦しいの
…誰でもいい。
あたしの傍に居て…。