セツナイロ
…
屋上に流れる沈黙と、微かな風。
誰も動きはしなかった。
鈍くズキズキと痛む頬。
だけどそれ以上に、みんなにはもう傷ついてほしくなかった。
「ゆ…ユズっ…!!」
あたしに駆け寄ってくるのは、目に涙を溜めたルナだった。
頬を押さえ、ショックで立ち上がれないあたしを、
力いっぱい、
だけど何よりも優しく抱きしめてくれた。
「…大丈夫だよ。」
唇が切れている。
舌も少しだけ噛んだ。
あたしの声はかすれていた。
「大丈夫…
大丈夫だから……
だから…もう止めて…?」
あたしの意識は薄れていく。
徐々に徐々に、視界は闇に包まれて、
ルナの声も、
風の音も、
あたしの頬の痛みも薄れていった…