セツナイロ






階段を勢い良く駆け下りる。


ヤバい!
あと1分で始まっちゃうよぉー!!


ケータイをポケットにしまい、前を向いたその時だった。



“ドンッ”



誰かにぶつかった。

その弾みであたしはしりもちをついた。


「…ったぁー……

すいません…」



あたしがぶつかった人、それは


「階段は走らないで頂けるかしら?」


そう言って嫌みに笑うオオカワラナツキだった。




あたしはすぐに立ち上がり、少しだけ彼女を睨みつけ、横に避けて通った。



「そうそう、あなたに1つ言いたい事がありましたの。」


クスクスと笑う声が聞こえる。

…どこまでも嫌な女だ。



「何?」

無視する訳にもいかず、あたしは冷たく聞いた。


またクスクスと笑う声が耳に届いた。



「あなた達の中に何時も居るアスカ君だけど…

私がいただくわ。」


そう言ってまたクスクス笑う。


「そう…。」



あたしは興味なさげに言ったけど、クスクス笑う声からあたしの感情を読み取ったのだと分かった。



本当は嫌な予感がしたって事、バレたみたい……




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