セツナイロ





「遅れましたぁ!!」


ハァハァと息を切らしながら入った教室。


「うわっ!
3分オーバー?!

…くそっ…あの女ぁ……」


メラメラと心の中で燃える炎。



あたしの中で確実に“何か”が切れていた。


だから先生の「今座ればまだセーフにしてあげるわよ」なんて聞こえなかった。



「見てろよぉ……」


“ゴツン”



拳を堅く握ったあたしの頭の上にまたも痛みが走る。

そして次に先生の声がキンキンと耳に響いた。



「いい加減にしなさい!

あなたはもうサボりよ!


すぐさま教室から去りなさい!!」


先生があたしの背中を押して廊下に出すもんだから、あたしはされるがままに廊下に出された。


ピシャリと閉められた扉の奥から聞こえるのは、皆の笑い声だった。



あたしはその声を背に、保健室に向かった。




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