セツナイロ
また天井へと視線を戻したあたしに、ルナが近付いて来た。
「ねぇ、どこ行ってたの?
朝にどっか行っちゃうから授業遅れるんじゃない。」
そう言って深いため息を1つこぼした。
「別に…どこにも行ってないよ。
ただ、廊下歩いてただけ…。」
本当は嘘。
でも屋上に行ける事をルナは知らない。
例え親友であろうとも、屋上への行き方なんて教えられない。
だって、そうお姉ちゃんが言ったんだ…。
「…そう…ユズいっつも教えてくれないよね?
…私には教えられない事なの…?」
どこか寂しげな表情にあたしは何も言えなかった。
「午後の授業はちゃんと出てよね?
じゃないとまた怒られるよっ!」
そう言ってクスクス笑うルナ。
きっと何か思ってる。
あたしが教えない事に対して怒ってる。
怒ってる筈なのに…
ルナの悲しそうな笑顔に、あたしの心臓が締め付けられて、苦しかった。
“ごめんね”
心の中で囁いた。