セツナイロ




「あの…」


授業が終わり、廊下をブラブラと歩くあたしは誰かに声を掛けられた。


見上げる程に高い身長。

高い鼻。

形のいい唇。

まつ毛の長い、切れ長のどこか冷たい目。

そして、その顔に完全にマッチしている眼鏡が、あり得ない程に似合っていた。



「あの…」


「は、はいっ!」


いけない。

つい見とれてしまった。


だってこの人の顔が完璧過ぎるんだ。



かっこいいって言うよりは、綺麗って言葉の方があってると思う。


そんなイケメンがあたしに何の用があるのか?



「放課後…いいですか……?」


「あっ、はい。」


放課後と言えば告白か?

でもこんなイケメンがあたしに告白する筈がない。


きっと何か聞きたいとか、そう言う事だ。



彼はほっとしたように表情を緩め、「ありがとう」と言って去って行った。




< 32 / 203 >

この作品をシェア

pagetop