セツナイロ
「立てる?」
彼の問い掛けにあたしは頭を横に振った。
「そうか…うーん……
…少しの間、ここに居ろよ?
すぐ戻って来るから。」
そう言ってドアを開けて走り去ってしまった。
ギィーと静かに音を立て、ドアが閉まった。
あたしは何故か怖くなって、ここの空気を肺一杯に取り込んだ。
…湿気が多い。
カビの匂いもする。
そして何より暗い。
でもあたしは動けない。
あたしはただ強く瞼を瞑った。
これで何も見えないから…。