セツナイロ


「はひっ!」


突然耳に痛みが走った。



あたしの斜め後ろに立つのはハルキだった。



「離してよぉー!」


ジタバタと暴れるあたしを楽しそうに見つめ、ニカッと白い歯を見せたハルキ。



何時までも離さないハルキのお腹に、あたしの肘を思いっきりぶつけた。



「った!

テメェ女のくせに!」


そう言ってあたしの頬をブニュっとつねった。


「いひゃいんらっへはぁ!」


「はいはい、そこイチャつかなーい!」


そう言って止めに入ったのはルナだった。


「ったく…
ユズも逃げなさいよ。」


「足遅いから無理だもん……」


つねられた頬をさすりながら涙目でルナを見た。



ルナはケラケラと笑って「こりゃ、失敬!」なんてふざけながら謝った。



< 7 / 203 >

この作品をシェア

pagetop